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    2022.04
    2022 TSUISEE上市にあたって 【アプリ開発前夜 Vol.1】

TSUISEE上市にあたって

この度、Maxwell’s HOIKORO社およびConsulente HYAKUNEN社は、人事介入アプリ「TSUISEE(ツイシー)」を開発致しました。

これにあわせて、社長BLOGを数回にわたって書かせて頂きます。

エンジニアリングに無縁であった我々、
とくに圧倒的なハイテク音痴である弊社CEO前山が、なぜデータサイエンスを用いたアプリケーション開発を行うに至ったのか?

今回の社長BLOGでは、開発に至る想いや、TSUISEEの特徴、うまく言葉にならない前山の日常についてお伝えしていきます。


この社長BLOGは、期間限定のアップとなり、アップ後しばらくして、削除されますので、悪しからずご了承願います。
※なお、本BLOGの内容は概ね事実に基づきますが、関係各方面への配慮等から、一部FICTIONでお伝えしております。

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2022 TSUISEE上市にあたって 【アプリ開発前夜 Vol.1】


■そんな依頼あります?


「そんな依頼あります??」(関西弁)


「ちょっと失礼なお願いで申し訳ないんですが・・・」との前置きから、有名企業の人事課長さんであるその人が、こちらを気遣ってくれているのはわかるのだが、それでも思わず、口から出てしまった。

仕事の依頼をもらえるのは、本当に嬉しいことだし、それが自社にしかできないことであれば、なおのこと一層嬉しいのだが、それでもこの言葉が出たのは、自身が属するコンサルティング業界について、思う所があったからだ。

依頼の要点は以下であった。

・その会社では、この10年近くの間、2年に1度全社サーベイを行い、全社の組織カルチャーや社員のエンゲージメント等について定量調査を行っている
・けれど、いつも調査を行うだけで、結果を生かすアクションが生まれていない
・調査はするものの、何にどう取り組めばよいのかが結局分からず、定量調査を惰性で行っているに過ぎない
・今年度はサーベイを実施する予定であったが、先だって着任した人事部長が、別会社が提供するサーベイに変更してみてはどうか?と提案したところ、「効果がないからと言って、単にサーベイを変更するのは違うだろう。人事部門として、定量データをしっかり分析する姿勢がないからダメなのである!」とCEOから強いお叱りを受けた
・ついては、過去に実施した定量サーベイのデータ分析を行い、アクションプランを立てる必要があるが、その仕事をお願いできないか?


Consulente HYAKUNENを創業して、アクロバティックな仕事や、難度の高い仕事を沢山こなしてきた自負はあるので、変化球プロジェクトは嫌いではない。けれど、

「他社が行った定量サーベイなんだから、その会社に言ってくださいよ」

と思ってしまった。
その心根が、つい冒頭の「そんな依頼あります?」に結実してしまったのだ。
(ごめんなさい。どんな依頼でもお待ちしています!!)



■業界への違和感:コンサルティングは虚業か?


通常のコンサルティングに加えて、企業の変革や再生などを手掛ける中で、毎日アップアップしている。もちろん、これは「向上」を意味する「アップ(up)」ではなく、「息も絶え絶え」の「アップ、アップ」である。

自分の会社を経営するのに、経営者は皆必死だ。
それでも、難しいので、コンサルタントに依頼をするわけだから、コンサルタントなんて、超絶しんどい、のである。


他人の会社にとって、赤の他人が「本当に役に立つことをする」のは、当たり前だが、並大抵ではない。
(※有難いことに、僕らへ依頼してくれる(物好きな??)クライアントの方々も多くいて、その度に背筋が伸びる思いがしています。)


そんな中、依頼の難度が高くなるにつれ、僕は「データサイエンス」をコンサルティングに取り入れるようになっていた。


人間の経験や勘、発想だけでは、どうにも手に負えないな、と痛感する場面が増えていたからだ。実際に、データサイエンスを取り入れることで、僕らのサービスは、手前味噌甚だしいけれど、研修やトレーニング、幅広い分野のコンサルティングに至るまで、相当レベルが上がってきている実感がある。


その人事課長さんは、そんな僕らの話を知って、わざわざ電話してきてくれたのだった。

僕は言った。
「いやいや。状況は分かりました。けれど、そのサーベイをご提供されているのは、〇〇社さんですよね?そちらにお願いしたらどうでしょうか?サーベイの詳細も分かりかねますし、そもそも役に立つものとしてそのサービスを提供しているわけでしょう?一度〇〇社さんに相談して、そちらとやって頂いた方が良いかと・・・・」

〇〇社はこの業界にいるので僕も少しは知っている。
研修やトレーニング、コンサルティングなどを「標準化」している企業だ。
「標準化」から対局にある会社でありたい、と常日頃思って起業した僕にとっては、括りとしては同じ業界でありながら、あまり関心が持てない会社でもある。


「いや、〇〇社さんの担当にも話をしたのですが、定量データについては、これはこれ以上でもこれ以下でもない、とのことでして・・・。他社のサーベイ結果の解析をお願いするのは、失礼だとは思っているのですが・・・。なんとかやって頂くことはできないでしょうか・・・?」

人事課長さんの、困り果てた声を聞きながら、
「ちゃんと、やろうよ・・・コンサル業界。」と残念な気がして、結局、僕らはそのデータ解析に挑むことになった。


■世の中の定量サーベイの「あるある」

アンケート形式の定量調査というのは、①設計→②解析→③アクション、と3つの段階からなる。この3つは強く連動していて、アクションが出来るような何らかの介入ポイントを明らかにするべく、アンケートが高度に設計されていて、かつ、介入を導くに足る効果的な解析を行う必要がある。

組織現象に変化を生む為の鍵となるポイントを探り当てるために、アンケートと解析技術が、高度に連動している必要があるのだ。
逆に言うと、これが出来ていなければ、どれだけ多くのアンケートを集めても、完全に無意味、なのである。

その企業から送られてきた一年分のデータと解析結果をみて、正直驚いた。


・解析といいながら、単純な平均値くらいしか分析がなされていないこと(業界平均のような一定の比較尺度はある)
・アンケート項目が総花的であり、何かが浮かび上がるような設計にはなっていないこと
・アンケートの回答尺度が、偶数段階になっていたり、いくつかの工夫を加えた設計になっていること(たとえば、アンケートの回答に「どちらでもない」という尺度がない場合、良いか、悪いか、に必ず回答が振り分けられることになる。このことで、悪い箇所をある意味で「創り出す」ことができ、改善サービスの売り込みが可能になる)


アンケートの設計とデータを一通り眺めてみて、僕らは途方にくれるというか、唖然とした。「こんな調査では、何にも出ないよ・・・」と。


今、世の中には、沢山の定量サーベイのサービスやシステムが出回っている。パルスサーベイなんていう、「3~5つの質問で組織の状態が分かる」なんて言うものもある。


それぞれには、それぞれの価値があるのだろうと思うけれど、どうしても、その時僕らは思ってしまったのだ。


「いやいや、それでホンマに分かります・・・?」(関西弁)
「何をすれば組織が良くなりそうなのか、ホンマにそれで分かります・・・?」(関西弁)


言ってはいけないことかもしれない。
でも、思っちゃったものは仕方がない。




兎にも角にも、

アナログ人間である僕の中で、経営や人事部門、人と組織に関わる全ての人達が、データというものを、どのように扱うべきなのか?

そして、その為に役に立つ、安くて、簡単な方法がないだろうか?


コンサルティングの現場で、僕らがデータサイエンスを使ってやっているようなことを、企業で働く人が、お金をかけずに、簡単に行う方法を生み出せないだろうか。




こうして、僕らの、
その問いへの不器用な挑戦が始まった。

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