内容:知見と事例

  • Member interviewMember interview
    2020.09
    メンバーインタビュー【宍戸拓人 Vol.1】

こんにちは。HYAKUNENの笠松です。
今回はメンバーインタビューとして、弊社リサーチフェローの宍戸拓人に色々と質問をしてきました。いつも明確にスパッと分析をするイメージの宍戸さんですが、別の一面も見えてきましたよ。ついつい興味深くて3部構成のロングインタビューとなりました。

**********************************

笠松:宍戸さん、今日はよろしくお願いします!ちなみに今日は朝ごはん何でしたか?(※私が初めて宍戸さんにお会いした時の宍戸さん家の朝ごはんはなんとパンケーキ!)

宍戸:今日はトーストと卵でした。ご飯と納豆の日ももちろんありますよ。夜は糖質オフを心掛けています。

笠松:え、身長お高いのでそんな気を付けられているイメージなかったです…。

宍戸:僕小さい時太っていたんですよ。今はその分身長が伸びたので…。

笠松:ええ!インタビュー1つ目の驚きです…。今日は驚きに溢れるインタビューにしたいですね。まず簡単に宍戸さんが何をしている人なのか。経歴や専門を教えて頂けますか?

宍戸:はい。私は私立武蔵高校卒業後に、一浪して一橋大学商学部に入学しました。その後、一橋大学大学院に進学し博士号を取得しました。2012年から、現在の勤め先の武蔵野大学で経営学、主に組織行動論やコンフリクト・マネジメント、調査方法などの講義を担当しています。博士論文は、職場の対立、いわゆるコンフリクトをテーマに書きました。

笠松:ふむふむ。研究者になるというのは昔からの夢だったんですか?

宍戸:それがひと悶着あって。学部2年の時に民間企業に行くのは辞めようと思ったんです。理由は2つありました。1つは前向きな理由で、その時とった一橋大学商学部の沼上幹先生の講義がとにかく面白かったこと。すごくアカデミックな授業で、経営学の理論の歴史について学び、すごく楽しくて興味を持ちました。ただ、これに前向きになれたのは、後ろ向きの理由もちゃんとあって。僕、大学に入った時はいわゆる「意識高い系」で横文字をすぐに使っちゃう感じの学生だったんです。それでコンサルティングファームの人が学校に来てやってくれる授業があったので、もちろんその授業をとりました。それがボロボロだったんです。成績も良くなくて、それに意識高い人がたくさん集まってくるそのクラスで、そういった人達と一緒に何かをすることが得意ではないことに気付いたんです。それで、こういう分野はどうやら自分には合わないらしい、と思ったんです。今まで意識高い系だった僕の方向性がすごくぶれました。当時はつらかったんですが、キャリアの修正としては結果良かったんですけどね。だから、その裏で取っていたのが沼上先生の講義で、じっくりと理論立ててやっていく、その内容に感動するところもあって、僕はこっちなんだと思いました。もうそこで大学院に行こうと決めました。なのでキャリアについては早い段階で決めましたね。

笠松:え、学部2年でですか。私は学部2年の時なんて何にも考えてなかったです…。

宍戸:いやぁ、それほど僕にとってカルチャーショックの経験というか、あのような仕事は自分には合わないと思ったんですよ。もちろんコンサルの方の授業は、すごい良い授業内容でした。ただ僕がフィットしなかったし、やりたいこと、楽しいこととは思えなかった。一方で沼上先生は、経営学者として実務の世界にも関わっていて、実務家に役立つ知見を出すべきだという想いがある一方で、哲学や社会学をきっちり勉強することも重要だという人だったので、沼上先生の下で勉強したい、と思ったんです。

笠松:すごい興味深いです。学者寄りと実務家寄りで学生時代は揺れて、一旦学者寄りになって。そして今はHYAKUNENに参画され、両方の良い距離感を持ちながら働いていらっしゃる…。

宍戸:おっしゃる通りで、沼上先生の下に入ってから僕は極端に学者寄りになったんです。さらに僕はコンフリクトを研究していました。この対立というのは心理学の分野なので、一時期ほぼ心理学者になっていました。博士号取って2、3年は実務から一番離れていて、役に立つか立たないかじゃなくて、理論的に貢献できるかどうか、ということばかりやっていました。そうしているうちに徐々に民間の会社の人からお声掛け頂いたり、講演会でのオファーを受けたりする中で、少しずつ実務側にも戻っていくようなプロセスがありました。

前山さんはこれは縁と言いそうですが、本当に良いタイミングで前山さんに出会いました。博士号取った後すぐに前山さんに会っていたら、多分響かなかった。なるほど面白いですね、と言うだけで終わっていた気がします。前山さんに声を掛けてもらったタイミングというのは少し実務に触れつつ、実務の人と仕事をする中で悩みが増えていた時期でもあったので。なので、学者寄りと実務寄りを行って戻って来て、今中間あたりですかね。

笠松:そのご縁のお話なのですが、前山さんが宍戸さんを東京で短時間で口説いたというお話を聞いたことがあります。改めてどういった経緯でHYAKUNENに参画されるようになったのでしょうか。

宍戸:ある会社と行った調査結果の報告を実務家向けの雑誌に載せていて、それを前山さんが見て、「よし、こいつだ!」ということになったみたいで青木さんから連絡がありました。その時はHYAKUNEN?怪しいな、不動産の営業かな?くらいに思っていたのですが。青木さんにキャンパスまで来て頂き、HYAKUNENのお話を聞いたら面白そうだ!となったんです。

その後東京で前山さんとお会いしました。僕はてっきり雑誌の文章を読んでくれているのかと思ったら、名前で決めたって聞いて…それも名前を見て写真を見て確信したと聞いて…。ただそこで聞いた話というのは、データを使って分析・仮説検証をしたい、という話でした。僕のファーストインプレッションとしては、研究者として自分がやりたかったことだけど出来なかったことに近いと感じました。

経営学の研究者って、昔はお医者さんみたいに困っている企業に入ってデータ取って、ここが問題ですねと答えたり、アドバイスするイメージだったのが、だんだん仮説を立てて、データを取って実証されたかどうかに基づき論文をつくっていく、ある意味「科学的」に変わっていて。それはもちろん価値あることなので、僕もやってきました。でも前山さんと話したのは、学術的な知見をもっと実務に応用すべきだ、ということ。その時に学者もコンサルもクライアントも一緒になって現場に入ってその中で悩みながら仮説をつくるというか、先に学者が僕の専門はこれだからこれを証明しますではなく、一緒に悩んでそこからデータを取る、仮説検証をしていく、そういう風にやっていきたいんだ!と仰っていた。これって僕が経営学者として問題と感じていたことにすごく近かったんです。既存研究の流れにそって仮説検証をするのはパズルみたいで楽しいんですけど、正直実務からの距離感を感じていました。なので、僕の悩みと前山さんの話がうまくはまった感じがあったんですよね。そしてじゃあ一緒にやりましょう、ということになりました。

笠松:え、でも…。名前と写真だけで決めたと聞いたときは正直どう思われたのでしょうか?

宍戸:これねぇ、関係性が出来て詳しい話を聞いた後に、この名前と写真だけの裏話をされた気がする…。いや、どうだったかなぁ。でもあまり驚きはなかったです。そういう人もいるのかぁ、という感じでした。

笠松:あはは、私だったらもっとオーバーリアクションしちゃいます。笑。でもそのお誘いがあったのが、本当にベストなタイミングだった、ということですね。うーん、縁ってやっぱり不思議ですねぇ。

(第2部に続く)
**********************************

今回は、宍戸さんのこれまでの道とHYAKUNENとの出会いについてたっぷりお伺いしました。第2部、第3部ではHYAKUNENでの働き方や今後の夢等も質問しています。是非お楽しみに!

前の記事へ

次の記事へ

知見と事例一覧