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    2020.08
    未来をつくりだす使命を感じているか?

未来をつくりだす使命を感じているか?

この春、新入社員の研修をする機会があった。
涙ながらに、「こんなにしんどいのに、ずっと働き続ける自信がない」とのこと。
人事担当役員の人が、慣れるから大丈夫だよ、と声をかけるも、涙がとまらない。
役員の方が困って、HYAKUNENさんから何かアドバイスないですか?というような目でこちらを見た。


困った。


困ったと書いたが、答えが見つからないということではない。正直、いいなあと思って、変な話だが、見惚れてしまっていた。涙っていいなあ、と。

働き始めたとき、毎日つらかった。
大人に囲まれて、分からないことばかり。失敗ばかりで、価値がない人材と思われたらどうしよう、と不安だった。二回りは歳上の人からアドバイスの体をした説教をされ、困ったら何でも聞いてね、と言われて質問したら、聞く前に自分で考えるのが仕事だからと諭されたりした。仲が良くないのに、とりあえず一緒に飲みに行くカルチャーが理解できなかった。飲みに行かなかったら、次の日から、自分の周りの何かが変わったような気がしたこともあった。

なんだろう。小さな、とるに足らないことなのに、あの頃の自分には、そんなことさえ辛かった。会社を出るとき、毎日なんだか逃げるように帰ったのを憶えている。職場の人に帰る途中で会いたくなかったから。

些細なことなのに、毎日起こる小さなことが、自分の中でどんどん大きくなっていく。
指先に刺さった棘みたいに、それは小さいけれど、ずっと私を傷つけた。
刺さった棘は身体のスケールからしてずっとずっと小さい。けれど、その小さな棘が、悲しみや不安の根源にでも触れているかのように、当時の私を不安にしていた。

働き始めた最初の頃、こんな辛いこと、働くなんて大変なこと、何年も続けられないよと、心底思ったことを憶えている。


企業の建て直しや大企業の変革、データサインスを使った仕事などをやっている今のこの毎日は、刺激的で、毎日ギブアップしそうなほど大変で、でも、とびきり面白い。
疲れきって帰る帰り道、微熱みたいに興奮が残っていて、一駅手前で電車を降りて、歩いて帰ったりする。
辛いことや悲しいこと、傷つくこともあるけれど、どうしてか、ゆっくり歩いて帰る道すがら、自分の会社、仲間のこと、そして未来について考えるようになり、仕事って尊いなと思うようになった。
涙を流す受講生に、

「辛いね。大変だね。涙が出るね。でも、その感性をずっとずっと忘れないでください」

知らぬ間に、声になってしまった。

受講生からすれば、具体的なアドバイスをくれないダメダメ先生になってしまったけれど、伝えたいことを言葉にすると、やっぱりあれでよかったと思っている。

言うまでもなく、激動の時代で、古い価値観がいとも簡単に覆っていく。
イノベーションという上滑りな言葉を出すまでもなく、人の感性が新しい価値を社会に生み出していく時代。厚いかさぶたで傷を隠すのではなく、仕事になれて無感覚になるのでもなく、感性を豊かに、少しくらいワガママに自分を発揮したりして、ありふれた仕事を、自分だけの、自分の指紋のついたかけがえのないものに変えていく。

もっともっと想いを込めて働いたらいい。
毎瞬毎瞬、自分という未来をつくり出すために。

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