宇宙好きのわたくし青木 透が川口淳一郎先生にお会いしてきました。先生はとても柔和で優しい方でした。飾ったり偉ぶったりせず、とても真面目な科学者、そして大きなことをなしとげる方という印象を受けました。
今回は「はやぶさ」のこと、私から簡単にご紹介させて頂きます。

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「はやぶさ」プロジェクトとは

小惑星探査機「はやぶさ」とはどんなプロジェクトであったか、少しだけご紹介します。

【人類史上初の快挙】
これまでの宇宙開発では、アメリカ、ロシアなど宇宙開発先進国でさえも、月以外の天体に探査機を送り、地球まで帰ってくる(サンプルリターンという)ということはできませんでした。専門家の誰もが不可能だと考えていました。アメリカの20分の1の予算しかない日本の「はやぶさ」がこれに果敢にチャレンジし成功したことは、NASAをも驚かせるまさに画期的な偉業。とにかく「人類史上初の快挙」だったのです。

【オリジナルで編み出した数々の開発・工夫】
では、なぜこのようなことができたのでしょうか。技術的な要因をあげると、
・イオンエンジンによる惑星間航行(世界初)
・遠い宇宙空間での自律誘導航法(世界初)
・微小重力の小惑星におけるサンプル採取(世界初)
・地球重力を利用した加速航法「スイング・バイ」(イオンエンジンとの併用は世界初)
・カプセルによる大気圏再突入(スペースシャトルの10~20倍の熱を浴びる)
という世界初・人類発のオンパレード。全て自分たちで考えたオリジナルということです。

【トラブルの連続を乗り越える】
小惑星イトカワに着陸後、燃料漏れ、姿勢制御不能、電力の喪失、通信途絶というトラブルに見舞われ、「はやぶさ」は行方不明になりました。地球からの指令電波が片道30分以上かかる遠い宇宙空間、通常では戻ってくることはまずないとのことですが、復活を信じて、1ビット通信、NASAとの協力による24時間受信体制などあらゆる手段を尽くして「はやぶさ」からの応答を待ちました。周囲の人もなかば諦めかけた7週間後、奇跡的に「はやぶさ」から応答信号を受信、通信が復活しました。キセノン生ガス噴射という奇想天外な方法で姿勢転換に成功、太陽光発電が復活して帰路に戻れました。
その後、地球まであと少しというところで、4つあるエンジンの最後の1つまでもが止まってしまう最大のトラブルに見舞われました。もうダメかという場面で、技術者達は「最後に残された手」で奇跡を起こします。
小惑星の砂を入れたカプセルは、宇宙空間からオーストラリアのウーメラ砂漠の目標地点になんと500mの誤差で落下させることができ、奇跡の生還をとげたのでした。

川口先生に伺いました

先生にお聞きしたことをご紹介します。当日にはどんなお話しが聞けるか楽しみです。

【アイデアを湧かせるためには?】
インスピレーションは、学問、知識を蓄える中では出てこない。それより「人と話しをしている中で」ふっと浮かぶことが多いと思う。だから、「対話を通じて刺激をもらえる人」がいること、そんな仲間づくり、人作りが大事だと思う。

【オリジナリティを生める人とは?】
知識・能力よりも、生き方、姿勢がしっかりしていることが必要。例えば、スティーブ・ジョブズは「もし明日死ぬとしたら、今日何をするか」と考え、そして「それを毎日行う」という考えで生きていたという。人に合わせたり、気を使ったりして時間を無駄にするのではなく、一番大切だと思うことに時間を使う。異端と言われるかもしれないが、そういう生き方をしようと思う人がオリジナリティを生めるのではないか。

【意見がどんどん出てくるチームはどうやったらできる?】
意見やアイデアが出やすい言いやすい雰囲気にすることがとても大事。突拍子もない意見や実現が難しそうな提案でも否定せずに聞く。採り入れる努力をしてみる。人は、自分が出した意見を否定されると、次から意見を出す気がなくなる。
もう一つ大事なことは、決めるべきときは皆の前で結論を出すこと。はやぶさプロジェクトでは、結論を持ち越したり、少数のメンバーで預かって別途決めるというようなことはしないようにした。その場で結論が出ないと、提言してくれた人は残念に思うし、知らないところで結論が出るなら自分は関係ないと思うだろう。意見をいう意欲をそがないことに一番気を使った。

【最後まで諦めず成功をおさめられたのは?】
宇宙開発では、予期せぬトラブルが起こっても現地に駆けつけることができない。だから、地上であらゆる検討を行い、トラブルが起こった時の対処を入念に考えて準備をしている。それでもいろいろな事態が起こる。そこで諦めたら何年もかけてきた準備が水泡に帰すのだから、最後まであきらめずに粘り強く対処する。これは宇宙開発に携わる人の共通の姿勢。はやぶさチームだけが特別にその気持ちが強かったということではないと思う。ただ、日本の科学技術を世界に、(何十倍の研究予算をもつ)NASAに、見せつけたいという意地が原動力にはなったと思う。

川口淳一郎先生プロフィール

1955年青森県弘前市生まれ。京都大学工学部・東京大学大学院修士課程・博士課程修了後、旧文部省の宇宙科学研究所(現JAXA)に勤務。2000年に教授
1996年から2011年まで、「はやぶさ」プロジェクトマネジャーを務める。
現在、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)シニアフェロー

主な著書
「はやぶさ 世界初を実現した日本の力」日本実業出版社
「はやぶさ そうまでして君は」宝島社
「『はやぶさ式』思考法」飛鳥新社
「閃く脳の作り方」飛鳥新社
「小惑星探査機『はやぶさ』の超技術」ブルーバックス 他多数